―なんか面白そう―
そんな思い付きから軽率に3DCGモデリングに手を出したアオミ。
「立体造形は経験あるけど、3Dなんてはじめてだよぉっ!!」
わけのわからない視点移動!多すぎるショートカット!なぜか生成される邪神像!慣れない操作は徐々にアオミの自我を侵食し、怒涛のホイールスクロールがアオミの右手を襲う!!はたしてアオミはモデリングを終えることができるのか―――
調子に乗りました。
前回の記事の続きです。
「前篇」では操作法、ショートカットについての説明と、ミラーリングした平面を作るところまでご紹介しました。「後編」の今回は実際にモデリングしていきます。
(例によってスクショは少なめです...)
【Blender】3DCGビギナーが初めてモデリングしてみたのでざっくり解説(前編)
作成①円柱押し出し法
まずは「円柱状に面を作成して上下に縮小拡大しながら押し出す」方法でペンギンくんの胴を作っていきます。(この記事では便宜上「円柱押し出し法」と呼びます。)
作成した面の右上、右下の頂点を選択してEで面を押し出します。
(頂点1つだけ選択すると点を押し出せます。Eを押し出した後XorYorZを押すことで押し出しの方向を軸に沿って固定も可。)
正面から見てX方面に面を押し出した後、上からのビューでいい感じに丸みを帯びるよう、胴を一周するように何度か押し出していきます。
バランスの調製はいじりたい頂点を選択して
S→拡大縮小
どちらもX,Y,Zで方向が固定可能。
あと、頂点を選択してHで隠すことができます。面が邪魔で見ずらいときに便利。隠したものはAlt+Hで元に戻せます。
一周くるっと回ったら、今度は上下どちらかのループを選択して縦に押し出していきます。そのままだと節のあるちくわができるので拡大縮小していい感じにボディの形に沿うように形成。
こんな感じになりました
≪円柱押し出し法の所感≫
・メッシュがきれいにそろいやすい
・シンプルな造形に向いてる?
・手や足などを出す部分はメッシュを切る(K)必要あり
・細かい造形はかなり手間
顔などの細かな造形が必要なパーツには不向き。
腕や足、指先などに良いかも。
ここでショックなことが。
円柱押し出しで顔パーツも作っていたんですが、途中で訳が分からなくなって全削除ってしまいました...。
なので次の項から体も新しく作り直しています。
作成②アウトライン法
失敗に胸を痛めながらも、今度は「まっすぐな長い面を作成、下絵に合わせて分割しながら調製していく」方法にトライ。便宜上こっちを「アウトライン法」と呼びます。
だいぶ作業が進んだあとのスクショですが
①の押し出し法同様、細い長方形メッシュを身体の前面に用意します
(Shift+A→”面”→Ctrl+Rでループ分割→左半分をXで削除→ミラーの設定)
続いてAで全体を選択して、S→Z→ドラッグで上下に面を引き伸ばします。大体胴と同じくらいの長さまで。形が崩れると面倒なのでZ軸指定にしました。これで細長ーい面が出来たと思います。
続いてCtrl+Rのループ分割。
ピンク色の線が表示されているときにホイールをコロコロすると分割数を変えられるので、適当な数に割ります。一本の板に折り目を付けるイメージです。
ここまで出来たら横からのビューへ。
メッシュの頂点をいい感じに動かして、下絵に沿うように調整します。クッキー型みたいな感じになりますね。
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前面1面分が完成したら、また正面のビューへ戻ります。
今度はメッシュ真ん中辺りの1辺を選択し、Eで横に面を作ります。T字にメッシュが伸びるように。そうしたらまたいい感じにループを分割し、今度は上からのビューで調整していきます。
この流れを繰り返し、アウトラインをいい感じに作れたら間を繋ぐように面を張っていきます。
このへんのショートカットが便利です。
F:選択した頂点にメッシュを貼る
K:メッシュに切れ目を入れ新しい頂点を作る
Alt+M:選択した頂点を束ねる
Ctrl+F→グリッドフィル
(nxnマスで自動的にメッシュを埋めてくれる。頂点の数などに制約が出るけどすごく便利)
これを繰り返して形をつくっていきます。
手や足などの出っ張る部分はつなぎ目をとりあえず丸く空けておき、あとからループ全体を押し出しで形成すると楽です。
作成③球をいじって頭部を作る
頭の作成に入ります。
今回は丸っこい頭なのでオブジェクトの球体を編集してつくる方法にしてみました。
Shift+Aで「UV球」を作成します。
首にあたる下部の頂点を削除し、ループの縮小や頂点移動などで頭の形に沿うように調整しました。
クチバシや目の部分は手足同様、「K」でメッシュに切れ目を入れ、「E」でループを押し出して形成。
目は目蓋のフチの部分を少しくぼませてやるとそれっぽい感じになります。口を開けた時のためにくちばしの内側にもメッシュを張って口内を作ります。
全体的にみて、胴などのシンプルな部分はポリゴンを少なめに、顔などの動きが重要になる部分はポリゴン多めに割り振るようにするといいと思います。
ポリゴンの最終調整
ある程度まで作りこんだら「ミラーリング」でもお世話になった右側メニューのスパナマークから「再分割曲面」を選択。これによって今あるメッシュをさらに分割して細かいメッシュを生成してくれ、表面が滑らかになります。
「ビュー」の数値を弄ると分割数を変更できます。
数字が大きいほど分割が細かくなりなめらかになりますが、そのぶんポリゴンが増えて重くなるので注意。
あと、サービスによって対応しているポリゴン数が決まっているので注意しましょう。例えばVRチャットなら2万ポリゴンまで。
現在のポリゴン数はウィンドウ右上の方に「頂点の数」として表示されているので気にしてみてください。
私は最終的に「ビュー」1で作成しました。その状態で完成系のペンギン君は約1万9千ポリゴン。「適用」を押す前ならいつでも調整可能なので、状況によって調整するといいかもしれません。
表面が滑らかになるとこれまで気付かなかった凸凹がわかりやすくなるので、心行くまで調整して作りこみます。
オブジェクトの塗装①UV展開
満足いくまで弄ってオブジェクトの形ができあがったら、表面に色・模様を書き込んでいきます。
メッシュ単位での単色ベタ塗りは右側メニューの「マテリアル」から設定出来ますが、今回は柔らかい感じを強調したかったので"UV展開"→イラストソフトで手塗り→イラストをblenderで読み込む形で作っていきます。
イメージは「表面の薄いフィルムをはがして塗装」する感じです。
塗装用のUVを展開する
まずは作成したオブジェクトのメッシュを塗装用に分割します。
3Dデータのままでは塗装出来ないので、オブジェクトを展開して疑似的な2Dデータに落とし込みます。この操作を「UV展開」といいます。
ペーパークラフトの展開図みたく、ここで切ったら良い感じに展開出来そうだな〜って辺を選択して、Ctrl+E→「シームをつける」を選択。すると辺に赤い線が入ります。これで塗装用の分割線が入った状態になります。
パーツごとや、色の変わり目ごとなど、後からイラストソフトで塗りやすいよういい感じに分割していきます。ここは後でも調整可能なので、実際に展開した後の図を見て切れ目を増やしたりずらしたりしてあとで塗りやすいように展開していきます。
一通りシーム(切れ目)がついたら、分割したとこかの画面を「UV/画像エディタ」に変更します。
画像の丸の位置にあるアイコン が、元々は白いおとうふアイコン=3Dビューになっているはずなので選択して切り換えます。グレーの四角いキャンバスが表示されるはず。ここが展開したUVのデータ範囲になります。
ふたたび3Dビューの方へ戻り、Shift+Aで頂点を全選択します。そして「U」→「展開」で、シームで分割されたオブジェクトがUVエディタに展開されます。
UVエディタ上でも選択・移動・拡大縮小が可能なので、キャンバス外の領域も使って塗りやすいように各UVの位置や大きさを調整します。塗り込みたいパーツは大きめにしておくとあとが楽です。
UVのピン止め
思ったかたちに展開できず「一部のUV展開をやり直したい」場合、そのまま全体のUV展開をいじり直すとせっかく移動・大きさ調整したUVの形が変わってしまいます。
そこで活躍するのが"ピン止め"機能。
キープしたいUVの頂点を選択して「P」でUVをピン止めすることができます。これでピン止めした部分は再度UV展開しても形が変わりません。解除は「Alt + P」で可能です。
最終的に展開したUVがキャンパス内に収まるように気をつけながら、3DビューとUVエディタを行き来しながら塗りやすいように調整していきます。
UVのエクスポート
UV展開ができたら、今度はイラストソフトで読み込める形式で展開図をエクスポートする必要があります。
UVビューの下部メニューから「UV」を選択。プルダウンいちばん上の「UV配置をエクスポート」を選んで保存先を指定します。
ファイル形式は .png, .eps, .svg が選択可能。左側のメニューよりファイルサイズも指定できます。私はデフォルトの".png, size=1024x1024" で書き出しました。
こんな感じの画像ファイルが生成されます。
オブジェクトの塗装②
書き出した画像ファイルをイラストソフトなどで読み込みます。
私はクリスタを使用。
メッシュの描かれている領域以外は反映されないので、塗り残しがわかりやすいよう濃いめの背景と、パーツについてのメモ書きを余白に書きこんでいます。
このレイヤーをいちばん下にし、上に下塗りレイヤーを作成しました。
更に、通常/乗算レイヤーを重ねました。
はみ出ないよう下塗りレイヤーにクリッピングしています。
もふもふ感を出したかったので「エアブラシ」ツールと「にじみ水彩」ブラシを使用。
こんな感じになりました。
画像をpngで書き出してblenderへ。
右側メニューの「テクスチャ」タブ (赤白の格子模様) から真ん中の「マテリアルテクスチャ」を選択。「新規」→タイプを「画像または動画」にして、"画像"のタブから画像を読みこみます。
続いて "マッピング" タブの "座標" を「UV」に。
最後に、3Dビューの表示モードを「ソリッド (白い球) 」から「テクスチャ (赤白格子の球)」に切り替えたらビューにUVが反映されます!
模様の境目などは3Dに反映させた時にズレやすいので何度かイラストソフトと行ったり来たりして微調整して完成。
ペンギンくんの出来上がりです!
さいごに:3Dをいじってみての感想とか
第1作目ということもあり、決して綺麗ではありませんがひと作品作り上げることが出来ました。
ここまで、平日仕事終わってから取り掛かって3-4日ほど。作業時間としては10~15時間くらいだと思います。3DCG=なんか難しそうってイメージでしたが思ってたより簡単だし楽しかったです!
ただ、blenderは使い方が独特なのと、ショートカットキーが鬼の様にあるので覚えるまでが心折れやすいのかな?という印象。いきなり大作に取りかかるより、書籍や解説記事などを見ながら簡単な物から作ってみることをおすすめします。
入門用ならこの辺りの本が評価が高いようです。
それでは、楽しい3DCGライフを!
私ももっと精進します!
【Blender】3DCGビギナーが初めてモデリングしてみたのでざっくり解説(前編)